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田村日記

『常陸坊海尊』2019年12月

19/12/08 UP

KAAT神奈川芸術劇場で開幕した『常陸坊海尊』プレビュー公演を観てきました。タイトルは、義経を裏切った家来の名前。1964年に発表された戯曲で、秋元松代文学の最高峰と言われています。上演時間3時間10分。戯曲構成が巧みで、時間を忘れて舞台に浸りました。
罪の意識をじりじりとあぶり出されるような、ほろ苦さも。自分の中のなにと反応しているのか、時間をかけて確認したいと思いました。

私は能だと卑賤物にすごく惹かれます。生きていくことは、罪を重ねること。自分の身体にこびりついてしまった、どうしようもない罪。ふだんは蓋をしているけれど、舞台芸術を見ることで、ちょっとだけ向き合い、あつかましくも、なんとか浄化させようとしているのかもしれません。

当日、配布されたパンフに、KAAT芸術監督の白井晃さんの挨拶文がありましたが、短い言葉で、この戯曲を端的に表現されていたので、抜粋してご紹介します。
「源義経を裏切った家来常陸坊海尊が背負った罪を、太平洋戦争後の日本人の心のあり様に深く浸食させながら進行する劇構成は驚嘆に値します。」
「昭和という日本にとって重い贖罪を背負った時代の陰を、私たちはどの様に引きついできたのか。時代が変わり平成、令和と天皇が代わる中でこの国の心は何を忘れてしまったのか。」

KAAT神奈川芸術劇場『常陸坊海尊』
【作】秋元松代 【演出】長塚圭史
2019年12月07日(土)~2019年12月22日(日)
https://www.kaat.jp/d/kaison

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