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田村日記

「正倉院の世界」展(東京国立博物館)2019年11月

19/11/21 UP

東京のほうの正倉院展、行ってきました。このたびも単眼鏡大活躍で
一緒に行った友人も「貸して!」「貸して!」と何度もリクエスト。
かわりばんこにのぞきこみました。

御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」
東京国立博物館 平成館(上野公園)
前期展示:10月14日(月・祝)~11月4日(月・休)
後期展示:11月6日(水)~11月24日(日)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1968

でかけたのは、11月19日。[後期展示]のほうです。
午後の早い時間だったけど、1時間待ちくらい。
トーハクのツイッターで混雑状況がわかるのだけど、少し前からチェックしていて、
まあ1時間くらいは並ぶだろうな覚悟はしていました。
それで、並ぶという前提で、久しぶりに会う友人とでかけたんです。
待ち時間に、いっぱいおしゃべりできて、作戦成功でした。

会場は、上野の東京国立博物館。入り口ゲートを抜けて、
まず、整理券をもらいに行きます。
私たちがもらったのは「15:00-15:30」の整理券。
行列に並んで待つ必要はなくて、敷地のどこかで時間をつぶして、
時間になったら、平成館という建物の前に行けばいいということでした。
もらったときは14時すぎだったから、だいたい1時間くらいの待ち時間。
幸い、お天気もよく、それほど寒くなかったので、屋外のベンチに腰掛けて
積もり積もった話をあれこれおしゃべりしました。
あっという間の1時間。

やれやれ、これで入れるわ、と思ったら
なんと平成館の建物前に行列が!「え! ここから並ぶの?」
っていう感じで、行列のしっぽにつきました。
まあ、そんなに待たなくてすみましたが。
奈良国立博物館のほうが、よほどスムーズに入れました。
ちなみに、奈良では祝日に、このたびの東京は平日に訪問しています。
やっぱり、東京って人が多いのよね〜。

展示会場は、入場制限しているとはいえ、やっぱり混んでいます。
人をかきわけながらガラスケースに近づかないと
なにがあるのかも、わからない状態。
前日にしっかり寝て、腹ごしらえもしておかないと、エネルギー切れします。

展示物は、いろいろあるけれど、やっぱり工芸品が気になる私。
あの「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」(中国 唐時代・8世紀)
は、前期展示のみなので、もうホンモノはなかったけど、復元品が展示されていました。
螺鈿で彩られて、華やかなんですが、私としてはまず弦をガン見。
今も、鷹匠の紐の復元でお世話になっている、丸三ハシモトさんが復元しているからです。
すごいなー、こういうのを復元してくださいって、依頼がくるんだー、と静かに感動。
和楽器の弦(撚糸)の分野では、最高の技をもっているところで、製作の様子の映像も
流されていました。

琵琶は、「紫檀木画槽琵琶(したんもくがのそうのびわ)」(中国 唐または奈良時代・8世紀)が、すばらしかったです。
他の琵琶と同じように背面にも手の込んだ細工が施されているのですが
螺鈿バリバリの華やかさとは対照的に、落ち着いた色調にさまざまな文様があり、
デザイン的にも洗練されているように感じました。
表側は、ちょっと地味っぽいんですけどね。裏がすごい!
展示では、360度から見られるようになっているのですが、もう人が多くて多くてゆっくり立ち止まれないんですよ。
「立ち止まらないでください」と係員の人が、ずっと声かけしている状況。
持参した単眼鏡で見ようとしても、ピント合わせに時間がかかったりしてなかなかじーっと世界に浸れません。
でも、やっぱり肉眼で見ないと、このよさはわからない。
細かい文様が、拡大されたものが展示パネルになっていても、あんまり感動しないんですよね。自分の目で見るからこそ、驚きや発見があります。

ちょっと話はずれるけど、年配の歌舞伎俳優さんが「最近の若い人は、映像資料だけみて、教えてくれって、ならいに来ない」と言われたりもします。あれにちょっと似ているな、なんて思うんです。
映像資料のよさもあるので、全部は否定しませんが、ちょっと面倒でも(!)生で教えてもらう、生で見るっていう行為には、無限の情報が詰まっているんですよね。そこは、ちゃんと吸収しないともったいないところがあるなと。
人気の展覧会は、東京エリアだと本当に混んじゃって、私はこれまでかなり敬遠してきたのですが、機会があるなら、おっくうがらずに足を運ばないとだめだなと遅ればせながら感じている今日この頃です。
それにしても、直方体のガラスケースに老若男女がへばりつき、すごい熱気でグルグル回る様は、なんだかとても宗教的だなぁなんて思いました。

こちらも超有名な「平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)」(中国 唐時代・8世紀)は、さすがのクオリティで、鈍く怪しく輝く螺鈿にうっとりしました。
琥珀(こはく)と螺鈿(らでん、ヤコウガイの真珠層)のコンピは最強ですね。
「宝相華(ほうそうげ)と呼ばれる天上世界の空想の花を画面いっぱいに詰め込み」と解説にありましたが、まさに「この世のもの」ではない感じがしました。

歌舞伎などでも、頻出の「蘭奢待(らんじゃたい)」という香木も、ようやく自分の目で見ることができました。
正式名は「黄熟香(おうじゅくこう)」(東南アジア)というのですが、想像していたよりも大きかったです。
「いい香りがする古い木」はそれ自体にも価値があって素晴らしいですが、こんなにも時代の権力者の心をつかむなんて、不思議な存在ですよね。そして、これに惑わされてしまう人間も、おもしろい生き物だなと思います。

水差しは、2つあったのですが、個人的には、国宝の「竜首水瓶(りゅうしゅすいびょう)」(飛鳥時代・7世紀 東京国立博物館蔵 法隆寺献納宝物)よりも、全体のフォルムがちょっところんとした「漆胡瓶(しっこへい)」(中国 唐または奈良時代・8世紀)のほうが、好みでした。ちょっととぼけているというか、ほっこりした気持ちになるデザイン。
「聖武天皇御遺愛の水瓶(すいびょう)」とあります。
研ぎ澄まされまくったフォルムではなくて、こういうほこほこ系のモノを気に入られていたところに親近感がわきます。

モノを通して、遠い昔の人たちのことを具体的に想像できる。
自分の短い一生の時間軸を超えて、ワープする感覚が、とても心地よかったです。

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