普及活動
Vol. 15

(15)2016年3月27日 勉強会:生物多様性を学ぶ(高尾山自然散策)

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16/03/28 UP

生物多様性の考え方を一般社会で実践するためのサポートをされている北澤哲弥さんと一緒に早春の高尾山を歩いてきました。伝統芸能の道具には、自然界由来の素材も多くあるため、復元プランを立てる上では生物多様性への配慮は非常に大切になってきます。具体的な道具の案件に関わるときだけでなく、日頃から総合的に自然について学んでおきたいという気持ちもあり、北澤さんにガイドをお願いしました。高尾山の裏手の人の少ないコースから登り、お昼ご飯は、薬王院というお寺で精進料理をいただきました。


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写真左:薬王院にて、北澤哲弥さんと田村民子(写真提供:樋野晶子さん)
写真右:「いろはの森」コースを歩いて、のぼりました


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北澤哲弥さんと樋野晶子さん


上の右側写真:緑の葉の植物は、「シャガ」です。アヤメ科の多年草で、山地や里のやや湿った斜面を好むとのこと。参加者の樋野晶子さんが、能でこの植物を使うことをご存じで、しばし能談義に(笑)。能の小道具に「挟草(はさみぐさ)」というものがあり、その材料となるのです。『能楽大事典』によると挟草は、「75センチほどの竹の先方を割り、そこへシャガの葉を並べてはさんだもの」とあります。演目でいうと「敦盛(あつもり)」などに使われます。


「敦盛」(Web「能・演目事典」)
敦盛の舞台進行の写真があり、シャガが使われている「挟草」の写真もあります。
http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_008.html


スミレだけで1冊の図鑑ができるほど、種類がとっても多いスミレ。この日は5種類のスミレをみつけました。植物だけでなく、鳥の鳴き声から鳥の種類、鳴き方で鳥がどんな心理状態であるかもわかるということを教えていただき、とてもおもしろかったです。それからクルミをかじった形から、リスが食べたかネズミが食べたかを判別する方法や、高尾山に多く住むというムササビの生態についてもいろいろも教えてもらいました。


以下の写真5点は、全て樋野晶子さん撮影。
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お昼ご飯は、薬王院の精進料理を予約していただきました。とってもおいしかったですよ。
http://www.takaosan.or.jp/shojin/


よきガイドさんに導かれると、知らない世界にあっという間に興味がわき、また理解も深まります。能や歌舞伎などの伝統芸能にとって、どんなガイドがあればいいのかについても、新しい視点で考えることが出来そうです。また、折に触れて自然散策勉強会をやっていただきたいなと思っています。


北澤哲弥さん
株式会社エコロジーパス取締役。江戸川大学非常勤講師。博士[環境学]。専門は植物生態学。
「私たちは生物多様性の保全を専門とするコンサルティング会社です。近年、CSRとして生物多様性の保全活動に取り組む企業が増えてきました。しかし、本当に地域に貢献する活動にするためには、多くのハードルがあります。私たちは、企業が事業所や工場の敷地、その周辺の森川海などでおこなう生物多様性保全活動をサポートすることで、持続可能な社会の実現を目指しています」
株式会社エコロジーパスさんは、CSR活動として道具ラボを応援してくださっています。これまで、歌舞伎の百姓蓑の復元の際などにも、大きく貢献してくださいました。


株式会社エコロジーパスWebサイト CSR活動ページ
http://ecopath.co.jp/csr.html

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