普及活動
Vol. 14

(14)2016年2月3日〜16日 伊勢丹新宿本店のイベント「伝統芸能 Art Labo」(ご報告編)

artlabo_000

16/02/20 UP

IMG_4096 イベント会場の様子

百貨店の伊勢丹新宿本店さんからお声がけいただき、リビングフロア(本館5階)のイベント「伝統芸能 Art Labo」に企画協力で参加をさせていただきました。2月3日(水)から伊勢丹新宿本店全館で「DISCOVER!TOKYO」キャンペーンを開催され、各フロアで独自のプロモーションを行われました。リビングフロアでは「伝統芸能 Art Labo」というタイトルで、伝統芸能に関する道具にクローズアップし、それらの道具をアートとして紹介(販売)するいう、エッジの効いた企画を立てられました。

「伝統芸能の道具ラボ」では、この企画を具現化するプロセスで、協力をさせていただきました。歌舞伎や能楽の舞台で使われる道具を作っている製作会社や職人さんにお声がけし、商品構成などを一緒に検討しました。舞台で使われているものと全く同じモノから一般向けの商品まで、超絶技巧の豪華な品、今回のイベントのために特別に作られた貴重なグッズも出品していただきました(1点ものや数量限定品が多かったです)。ふだん舞台を陰から支えてくださっている「道具の作り手」さんを経済的に応援できる機会でもありましたので、道具ラボのFacebookページやTwitterなどのSNSもフル活用して、広報宣伝をいたしました。また、イベント期間中の週末など数日間、伝統芸能の道具ラボの田村民子も売り場に立ち、お客様に商品説明などを行いました。

★★ イベント概要 ★★

イベント名:「伝統芸能 Art Labo」
期間 : 2016年2月3日(水)〜2月16日(火)2週間
場所 :  伊勢丹新宿本店 本館5階=ウエストパーク
商品内容:
かんざし、足袋、バッグ、筥迫(はこせこ)、絞り染めストール、絞り染めの布地のテディベア
ミニチュア鎧、世話物の財布、小道具オリジナルストラップ
漆の化粧容器、化粧筆・刷毛、「蜘蛛の糸」
能の扇、見台、和綴じノート、桐の宝石箱、能楽関連書籍
『かぶき手帖』(田村が特集記事を担当した号)など
★歌舞伎の小道具の実物も4点程度、展示(特別協力:藤浪小道具株式会社)

【伝統芸能の道具ラボとして企画協力する理由】
1)伝統芸能になじみない方に、伝統芸能の道具の魅力を伝えるよい機会である。
2)平素は舞台関連の道具として使われるモノを、伊勢丹新宿店のお客様に新鮮な視点で、
一般の生活のなかで使っていただくことで、道具の新しい使われ方を模索する実験の機会としたい。
3)伝統芸能の道具を作る職人さんが作られる商品の新しい販路をつくる機会としたい。
*道具ラボはボランティアで参加しました。

以下、一部ですが商品をご紹介します。

IMG_4002

【歌舞伎の化粧道具】
隈取り用の筆なども、お化粧用に使いたいと購入される女性も多かったです(柄の短いものは化粧ポーチに入れやすいとの声も)。またプロのカメラマンさんが、カメラの掃除用にと刷毛を買われたケースもありました。一般でも、いろんな用途で使えることがわかりました。

IMG_4109

【定家文庫】
歌舞伎では筥迫(はこせこ)が女方の装飾的な道具として使われますが、その筥迫を作っている職人さんが手がけられた「定家文庫(ていかぶんこ)」です。武家女性や裕福な女性が、化粧道具などを入れて使ったそうです。大正期には主に関西で、婚礼用の袋物として用いられたとのこと。うっとりするくらいきれいで、多くのお客様がじーっとご覧になられていました。今回のイベントで一番高価な商品でしたが、あるお客様が数点まとめてお買い上げになられました。

isetan_kumonoito

【蜘蛛の糸】
今回、話題になったのがこの「蜘蛛の糸」。歌舞伎用(左)と能用(右)を並べて販売したところ、大きな反響がありました。写真の中央は、能の蜘蛛の糸の中身です。「一度投げたら、もうダメになるんですよね」という声や、「結婚式で投げたらいいかも」「夫婦げんかで投げるとか!」「これを作る手間を考えたら、値段が安い」などと、お客様からいろんなアイデア、ご感想があり会話がはずみました。

IMG_4081

【歌舞伎の縞財布】
さまざまな色や柄の布地でつくられた縞財布。歌舞伎ファンには、たまらない品だったようで、こちらもよく売れました。

<藤浪小道具さん特別協力による歌舞伎の小道具の展示>
artlabo_000 『伽羅先代萩』政岡の筥迫(はこせこ)

最終的な売上高も、比較的よく、ビジネスとしてもまずまずの結果となりました。このイベントの場所は、エスカレータのそばということもあり、多くの人が歩いておられました。やはり商売は、人が多い場所でないと駄目だなと改めて実感しました。また、ふだんは伝統芸能に関心のない多くの方にも、たくさんお越しいただけたことも、とてもうれしかったです。「伝統芸能は、見えないところにまで、すごい技術が使われているのですねー」との声もいただきました。やはり百聞は一見にしかず。実際に見ていただくのが一番ですね。このイベントをきっかけに、歌舞伎や能楽に興味をもってくださる方がいらっしゃったとしたら、とてもうれしいことです。また、出品いただいた職人さんたちも、百貨店で商品を売ったことが初めてという方や、一般向けに商品を売る事自体が初めての方も多くいらっしゃいました。それぞれのみなさんのよきステップにしていただくことができたようで、手応えを感じておられました。

このたびのイベントは「一般のお客様が、伝統芸能の道具の職人がつくるものをどのくらい買ってくれるのか?」という実験の場でもありました。結果をしっかり分析して、今後にいかしたいと思います。お越しくださいました皆様、情報拡散いただいた皆様、本当にありがとうございました。

Tags: