普及活動
Vol. 9

(9) 2013年3月22日 「無形文化に魅せられた3人の愉快なトークショー」(東京)

20130322top

13/03/23 UP

無形文化を次の世代へ伝えることをミッションにした「EDAYA(エダヤ)」という活動があります。その代表の山下彩香さんからお誘いいただいて、「EDAYA JOURNEY展」という展覧会のトークショーに出演させていただきました。「EDAYA JOURNEY」プロジェクトとは、フィリピン・北ルソン山岳部に暮らす先住民族の、今まさに失われつつある無形文化や伝統音楽に関して、調査、発表し、その結果を現地へ還元するプロジェクトです。出演者は、EDAYA代表の山下彩香さん、郷土芸能に詳しい小岩秀太郎さん、「伝統芸能の道具ラボ」の田村民子の3名です。

EDAYA・Webサイト
http://edaya-arts.jp/

無形文化トークショー
左から田村民子、山下彩香さん(フィリピンの民族衣装を着用)、小岩秀太郎さん(岩手県の郷土芸能・鹿踊りの衣裳を着用)

★★ 無形文化に魅せられた3人の愉快なトークショー ★★
日にち:2013年3月22日(金)
時間 :19:30~20:30 対談:無形文化の魅力、課題、未来に向けた取り組みについてディスカッション
20:30~21:30 交流会
会場:六本木ストライプスペース 地下1階
参加費:1500円 (ワンドリンク・小さなお菓子付)

【出演者プロフィール】
山下彩香(やました あやか)
1985年福岡生まれ、横浜育ち。東京大学理科2類に入学。3年時からは農学部国際開発農学専修に進学。卒論は東北タイ、コンケンで土壌水分量に関する研究。また、世界各国30ヶ国以上を旅してまわる。帚木蓬生の作品が愛読書。この時期、劇団MP2008に参加したことが、小さい時からの芸術に対する潜在的願望を呼び起こす。大学院進学前後で参加したS.T.E.P.22の活動で、それまで隠してきた左耳が聞こえない事、表現活動への潜在的欲求をベースに「マイノリティと芸術」というテーマでフィリピンのコーディリエラ地方を旅する。そこでのエドガーさんとの出会いが転機となり、duo edayaを結成。大学院ではこの地方の小規模金鉱労働者を調査する。2012年3月、東京大学大学院医学系研究科人類生態学教室を卒業。2012年7月、フィリピンで現地法人EDAYA ARTS CORDILLERA CORP.を設立、CEOに就任。

山下彩香さん、小岩秀太郎さん
左:山下彩香さん、右:小岩秀太郎さん

小岩秀太郎(こいわ しゅうたろう)
公益社団法人全日本郷土芸能協会職員。1977年岩手県一関市舞川生まれ。郷土芸能「行山流舞川鹿子躍(ぎょうざんりゅうまいかわししおどり)」伝承者。大学進学で上京後、海外旅行や台湾留学を経験し、鹿子躍をはじめ日本の郷土芸能を多くの人に知ってもらいたいとの思いから2005年より全日本郷土芸能協会(東京都)勤務。日本の郷土芸能の豊富さに驚きの日々。東日本大震災被災地の郷土芸能の復興支援において、東北人の地縁と訛りを活かした情報収集と発信を行っている。

田村民子
田村民子(たむら たみこ)
1969年、広島生まれ。伝統芸能の道具の調査研究と職人を支援する草の根活動「伝統芸能の道具ラボ」主宰。能楽、歌舞伎などで使う道具類の品質改良や、制作ルートの途絶えた道具の復元などに取り組む。「無形文化財」のなかの「道具(有形物)」と「ものづくり」を研究フィールドとしている。歌舞伎俳優名鑑『かぶき手帖2012年版』に特集記事「歌舞伎のかつらと衣裳」出筆。

【イベントミニレポート】

小岩さん
トークショーの準備中の小岩秀太郎さん。テーブルの上にあるのは、鹿踊り(ししおどり)で使われる頭(かしら)のレプリカです。本当の祭では、神社で魂をいれていただいたものを使われるそうです。鹿踊りの本番と同じ衣裳はかなりのボリュームになるため、当日は袴を含めた簡略な衣裳にされていました。本来はこの上にいろいろ着るのに、それがない状態なので「はずかしい〜」を連発されていました。

無形文化トークショー
トークショーでは、まず3人それぞれがどんな活動をしているかをミニ映像も使いながらお話しました。田村は、歌舞伎の床山さんのお仕事の様子をご紹介しました。

小岩さんと黒田さん1
小岩さんと黒田さん2
トークショー終了後は交流タイム。伝統工芸の技法をうまくとりいれたファッションブランドKARAFURUの代表の黒田幸さんが小岩さんが着ておられた鹿踊りの衣裳を身につけてみることになりました。男性が着ていたときと全く印象が異なり、なんともカワイイ(小岩さん曰く「めんこい」)雰囲気となりました。

フィリピンと日本。生活に近い芸能とハイカルチャーなど、「無形文化」といえども、かなり異なるフィールドに立っている3人でしたが、「大切なものを、未来につたえたい」という気持ちは同じで、話は尽きませんでした。まだまだ3人で話したいことはたくさんあります。また近いうちに3人で議論してみたいと思っています。当日お越しいただきましたみなさん、ありがとうございました。

撮影協力:村上千博さん(一部、田村撮影)

このイベントの様子をgreenz さんで記事にしていただきました。

greenz
消えゆく伝統文化を守りたい。 2013/4/26 UP
“無形文化”に魅せられたEDAYA × 伝統芸能の道具ラボ × 全日本郷土芸能協会トークショー[イベントレポート]

http://greenz.jp/2013/04/27/edaya-event/

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