フェイク・ベッコウ(改良) BEKKO
Vol. 8

(8)2011年8月 「櫛の歯問題」をどう解決するか?

2011年8月 堀野さんお仕事場訪問

12/04/12 UP

2011年8月18日。
アセチロイドの櫛の歯を引く作業について、いよいよ行き詰まってきたので
ものづくりの専門家である堀野州男さんと
歌舞伎床山の高橋敏夫さん、アセチロイドの櫛づくりに挑戦中の職人・八田春海さんと私の4人で
改めて、話し合いをしてみようということになりました。

そこで高橋さんのお仕事場にみんなでお邪魔し、現物を拝見しながらあれこれ検討しました。
床山の橋爪望峯さんが細かくサポートしてくださったのですが、
親方である高橋さんが説明された後に、さりげなく補足されたり、
高橋さんが指示する前に、見事に先回りして、いろんな道具をどんどん出してくださいます。

高橋さんという親方さんとその元で働いておられる職人さんとの
師弟関係のあり方がとても気持ちよく、堀野さんとも「素晴らしいですね!」と後でお話をしました。
週休二日が常識となった現代社会において、床山として働くということはきっと大変なこともたくさんあると思いますが、
長い目でずっと見守ってくれる親方さんがいるということが、うらやましくもありました。

歌舞伎の床山という仕事は、かつては男性ばかりでしたが
最近では若い女性の職人も増えているようです。
いい職人さんがどんどん増えて欲しいなと感じました。

話を元に戻します。

4人でいろいろ検討した結果、以下の方針で進めてみることになりました。

1)櫛の歯を引く部分だけ町工場などに外注し、櫛の外周の形などは
八田さんが手作業で作るという2段構え方式はどうか?
櫛の歯の本数や形はいろいろあり、それぞれの櫛に応じて変えるのが理想だが
効率や採算性を考えて、まずは3種類くらいに絞ってトライしてみることに。
ひな形となる櫛を高橋さんに3種類選んでいただき、堀野さんに預けました。
これを元に、堀野さんが町工場を探してくださることになりました。

2)べっこうの代替素材として、本当にアセチロイドという素材が最適なのか?
こちらも、堀野さんが調査してくださることに。
(アセチロイド製の櫛やかんざしを拝見していると、白濁したものや反りが出ているものもあったため)

堀野さんにおまかせするとともに、高橋さん、八田さん、田村もそれぞれ
加工の方法などを検討してみるということになりました。