百姓蓑(復元)MINO
Vol. 10

(10)2014年7月 収穫したチガヤが蓑の材料になるまで

chigayashintori

15/06/08 UP

千葉県の博物館「房総のむら」のみなさんが、百姓蓑の材料となるチガヤの収穫に出かけられるというので、藤浪小道具のみなさんと一緒に同行させていただきました。収穫したチガヤは、当日のうちに芯を取る作業をしなくてはなりません。房総のむらのみなさんに、芯取り作業を教えていただいた後、藤浪小道具の倉庫に戻り、自分たちだけで芯をとる作業を行うことにしました。

参加者(6名)
藤浪小道具
工作課  長谷川浩司さん、稲垣涼さん、高橋宏司さん
劇場担当 近藤真理子さん 総務 長村みち子さん
道具ラボ 田村民子

「房総のむら」は成田山新勝寺にほど近い印旛郡栄町にあります。午後早めに「房総のむら」から車で出発し、藤浪小道具の越谷倉庫へ到着したのは、15時すぎ。朝が早かった上に、興奮しながらいろいろな作業をやっていたせいか、車中ではみんなダウン気味。うとうと眠ったりしながらの移動でした(運転手の長谷川さんだけは、眠れませんでしたー)。

芯取りの工具や治具は、藤浪小道具のみなさんが手作りをされていました。こういうところは、さすがですね! 到着後は、すぐに芯とり作業を開始。19時くらいまで、黙々と作業をしました。これがなかなか大変な作業でした。以下に手順を整理してみます。

ちがや

【下準備】
・収穫したチガヤを芯とりができる状態に整える作業が必要。これが結構大変。
・枯れ草や他の植物を取りのぞき、長いものと短いものに分けて、バケツへ移す。
・この作業がきちんとできていれば、その後の作業がスムーズとなる。
今回は、やみくもに収穫しているので、いらない植物がたくさん混ざっていた(反省点)。
・収穫したチガヤはどんどん乾燥していく。乾燥すると葉がまるまってきて、芯取りの作業がしにくくなる。
霧吹きで葉にも水をかけながら、作業を行った。
・この下準備は、長村さんと近藤さんの女性コンビと、藤浪小道具の倉庫にいらっしゃる伊藤さんの3人で担当。

チガヤ

【芯取り】
・芯取り作業は、簡単な用具を使って行う。
・葉の中央にある芯を取り除き、1枚の葉が縦長の2枚に分かれる。
・コツを覚えると、結構おもしろい。
・藤浪小道具の工作課の男性3名が担当。

【干す】
・芯をとった葉をムシロに並べて乾燥させる。藤浪小道具にある小道具のムシロを利用。
・乾燥させるための敷物は、ムシロがベスト(新聞紙やコンクリートなどよりもムシロがよい)。
・干す際は、裂いた方と根本がまざらないように、上下をそろえて干す。
・葉が重なってしまうと、乾燥して丸まったときにからまるので、重ならないようにして干す。
・乾燥すると葉がすごく細くなる。
・干す作業は、田村が担当(地味ですが、立ったりしゃがんだりして、結構大変な作業でした・・)

収穫したバケツ4杯分のチガヤのうち、当日は1杯半くらいまで作業終了。「房総のむら」の方によると、バケツ4杯で蓑1つか2つ分くらいとのこと。

【体験した感想】
・非常に地道で大変な作業である。
・大量に収穫したようでも、素材として使える状態にするとぐっと量が減る(がっかりします)。
・1枚の蓑を作るために、大変な労力が必要であることが、身に染みてわかった。
・チームでやらないと無理。
・藤浪小道具の工作課の人たちは、さすがに手先が器用。

一日中、農作業のようなことをしていたせいか、とても疲れましたが、みんなで一緒に作業をするのはとても楽しかったですし、なにより百姓蓑の復元の具体的な第一歩でしたので、みんなとても興奮していました。こうしてみると、百姓蓑はものすごく高級な道具ですね! 手間などを考えると、オートクチュールの洋服よりも高いかも!?とみんなで
冗談を言ったりしながら、作業をしました。

後日、藤浪小道具のみなさんが全ての芯取り作業を終え、またその後もチガヤの収穫を行いました。こうして、ひとまず百姓蓑の素材を確保することができました。