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田村日記

  • 2019/02/14

    舞台裏の「小さな無形文化」

    私は伝統芸能の道具に関する裏方さん、職人さんを取材することが多いのですが、「取材する日」という点ではなくて、継続的に関わる「線」あるいは「面」の長いスパンの取材もとても大事だなと思っています。本番の時間よりも、雑談の会話のほうが、濃厚な内容を得られることも多いからです。

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  • 2019/02/13

    「人形の演技」からしか浮かび上がらないもの

    国立劇場の2月文楽公演を見てきました。
    第三部 『鶊山姫捨松 中将姫雪責の段』『壇浦兜軍記 阿古屋琴責の段』
    『阿古屋(あこや)』は、昨年12月に歌舞伎座公演で観たばかり。人形が演じる文楽、人間の生身の身体で表現する歌舞伎。対比が面白かったです。
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  • 2019/02/10

    ゆだねる、時間

    紙の手紙で文通している友人が何人かいます。そのうちのひとりは、お能を長くお稽古をしている女性。約束をして会うことはなく、能楽堂でばったり会うことがたまにあるくらい。携帯番号もあえて交換していない。そういう、レトロなつながり方が、なんだか面白く、心地よくて、ゆるっと楽しんでいます。会う頻度という意味でいうと「邂逅(かいこう)」といってもいいかもしれません。
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  • 2019/02/08

    舞台芸術の「客席の空気」を愉しむ

    歌舞伎座で上演中の『名月八幡祭』を見てきました。
    芸者の美代吉(みよきち)を坂東玉三郎、ちょっと悪いけれど憎めない色気のある三次(さんじ)を片岡仁左衛門がやっていたのですが、さすがなじみの(?)カップルで魅せる、魅せる! このふたりのイチャイチャをお客さんがみんな「ふふふ」と喜んでいる感じが、なんかとても楽しかったです。あてられちゃうのが、うれしいっていうか。二人がよりそうと、オペラグラスをのぞく率がぐっとあがる(笑)。客席もいい雰囲気でした。

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  • 2019/02/03

    演劇だから伝えられること

    SAPCの芸術総監督を務める宮城聰氏の新作の舞台『顕れ(あらわれ)~女神イニイエの涙~』を見てきました。場所は富士山が目の前、という東静岡駅のそばにある静岡芸術劇場。
    『顕れ』は、アフリカ社会の分断を生んだ奴隷貿易が主題。奴隷貿易に加担したアフリカ人に、死後の世界で罪を告白させるという内容です。
    かなり重たいテーマですが、能のように死者や神の視点から物語が様式的に編まれて、演劇のような抽象的な民俗芸能のような。美しく、魅力的な舞台でした。
    きっと、重いままだと、みんな見ないと思うんですよね。演劇は、それを見せるチカラがある。
    写真や文も同じで、伝えたいことを、どう表現したら、みんなが見てくれるか。そんなことを、改めて考える機会となりました。

    顕れ ~女神イニイエの涙~
    作:レオノーラ・ミアノ
    翻訳:平野暁人
    上演台本・演出:宮城聰
    音楽:棚川寛子
    静岡芸術劇場
    2019年
    1月14日、19日、20日、26日、27日
    2月2日、3日
    http://spac.or.jp/revelation_2018.html
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