組紐・房 KUMIHIMO
Vol. 1

(1) オリジナルのストラップをつくる

READYFOR

13/02/17 UP

2012/8/10から40日間でクラウドファンディングREADYFOR?に挑戦しましたが、お陰様で目標金額を達成することができました。



Ready For?
「消えゆく伝統芸能の道具を復元したい」記事はこちら

Ready For


READYFOR?では、支援者の方へ「お礼の品」を差し上げるメニューがありました。「伝統芸能の道具ラボ」を応援してくれた皆さんにどんな品物をプレゼントしよう? といろいろ悩みました。おそらく支援してくださる方は、「日本の手仕事」に興味をお持ちのはず。世界のどこにもない、オリジナルの品を作ってプレゼントしたいと思いました。そして、できればその品を作る職人さんにとっても、いい経験になるものにしたいと考えました。


そこで、以前、取材をさせていただいた組紐や房をつくる職人の江口裕之さんに相談をしました。そのときはまだファンディングが成功するかどうかもわからない状態だったのですが、とても気持ち良く引き受けてくださいました。どんなアイテムにするのか? どんな形にするかについては、KARAFURUの黒田幸さんに大きなアドバイスをいただきました。そしてスマートフォンやバッグにつけられるような「房のストラップ」を製作していただくことにしました。


A: 黒 スマホにつけるタイプ(イヤホンジャック)
B: 黒 根付けタイプ1(携帯用)
C: 黒 根付けタイプ2(バッグ用)
D: 朱 スマホにつけるタイプ(イヤホンジャック)*このページのトップの写真
E: 朱 根付けタイプ1(携帯用)
F: 朱 根付けタイプ2(バッグ用)


以下に製作の様子をお知らせします。


★ 江口裕之さんのストラップ制作レポート ★
週明けにメーカーから「染糸」が届いたのですが、やはりチャート番号なりの発色でした。そこで、天気を見計らって和物っぽく補正しました。絹糸の光沢感は強いのですが、ほぼサンプルと同色になったと思います。黒は煮込んで染色強度をアップ。水気による対・脱色性に気遣いました。


染めた糸は、自宅の外に干して乾燥させます。
乾燥


枠付けした材料から製作を開始しました。房の本数寸法に糸をまとめます。写真の一束が8房分です。
枠付け


「八丁(はっちょう)」という道具を使って根元部分の紐を撚ります。撚った糸をイヤホンジャックのプラグに通したり(スマホ用)、根付風の輪にまとめ、房と合わせます。
その後、軸紐を房に取付け、房頭を縛ってまとめていきます。今回は部品の切目・結目を隠す様にしているので、工程ごとの仕上げに手間を掛けています。


バッグ用は風雨や紫外線にさらされ、時にはラッシュに揉まれちゃうかも知れません。強度が無いと行方不明になっちゃうかも・・・。また固定箇所が様々でしょうから、どの寸法にも落ち着かせねばなりません。試作形からかなり改良しました。
と言う訳で、軸太さ2.5倍。しかも上ヨリを掛けているので、取付後はヨリ一本紐に見える形です。


【バッグタイプの取付け方法(力技は要りません)】
①紐先端と房付け根を持ち、軽く伸ばしながらヨリ合わせと逆方向に捻ると、ヨリがほどけて輪になります。
②輪の中に房を通して引抜きます。引き抜いて引くようにテンションを掛けるのがコツです。
③輪の固定位置が決まったら、ヨリの戻りに合わせて捻ってゆきます。
自然に戻るより、少し多めに捻って馴染ませたらOK


【房のお手入れ方法】
房に癖が付いてきたら、「湯のし」を試してください。蒸気を当て櫛ですくと、雰囲気が戻ります。房のアイロン掛けですね。蒸気はヤカン口から吹き出す強いものが最適です。

みなさんに喜んでいただけましたら、私もうれしいです。

(おしまい)

この製作を通して、江口さんがどれだけ細かな気配りをもって仕事をされているかがよくわかりました。「商品づくり」に似た体験をさせていただくことは私にとって非常に勉強になりました。
ミシン


●後日談●
歌舞伎のかんざしを作る仕事をしている方が、このページをみてくださって、以下のような感想を寄せてくださいました。すごくいい言葉だったのでご紹介します。


「やはり、独特な道具がたくさんあって興味深いですね〜。四角い糸巻きがたくさん並んでいるのとか・・。腕のある人が使うことによって活きてくる道具というのは、機械とはまた違った味わいがあって良いですよね。その人が使うことによって完成するというか。続きも、楽しみにしています!」

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